2018年7月26日
現在うちには猫が5匹いるが、どの猫も引き戸を開けない。引き戸を開ける、という発想が、そもそもないようだ。 引き戸を開ける猫がいない、というのは楽でいい。 網戸を開ける猫もいないが、一応つっかい棒 こうしたつっかい棒は、以前ミーコが網戸を開けて以来、窓を網戸にするとき必ずセットすることにしている。 我が家の歴代の猫たちのうち、引き戸を開けることができたのは、今は亡きユズとミーコだけ。ユズは右から左に開け、ミーコは左から右に開けた。反対方向だと開けることができなかった(ユズの場合、夫の仕事部屋のクローゼットだけは例外で、逆方向であるにもかかわらず無理矢理こじ開け、隠れ家として利用していた)。 だからたとえば、ユズは、夫の仕事部屋からリビングへ、引き戸を開けて移動することができた。ミーコは逆に、リビングから夫の仕事部屋へ、引き戸を開けて移動することができた。ユズはリビングから玄関スペースへの引き戸を開けたが、ミーコには開けられなかった。ミーコはリビングから寝室への引き戸を開けたが、ユズには開けられなかった。 ユズとミーコが同時期にうちにいたなら、すべての引き戸がどちら側からも開けられることになっただろう。 引き戸を開けるユズも、網戸や窓は開けなかった。しかしミーコは開けた。ミーコ以前に網戸や窓を開ける猫がいなかったので、油断していた。 ある夏の夜。寝室の網戸のそばで寝ているミーコの姿があった。しばらくしてから見に行くと、網戸が開いていて、ミーコがいなくなっていた。 「ミーコが逃げた!」 驚いた私は、ほかの猫が逃げないように、まず窓を閉めた。「ニャッ」という声が聞こえた気がした。 それからミーコを探そうと、急いで玄関から外に出た。 ミーコはすぐ近くにいた。寝室の窓の外側で、途方に暮れたような顔をして、こちらを見ていた。「ミーコ」と呼ぶと、小さく返事をした。そしておとなしく私に抱き上げられ、部屋に戻った。 ミーコはおそらく、窓のすぐ外のアルミ台の上で涼んでいたのだった。急に窓が閉まり、帰り道が閉ざされたので、びっくりしたのだろう。 ミーコのことを思い浮かべるとき、いつもこのときのミーコを思い出す。ミーコは今では、戻ることのできない世界へ行ってしまった。ミーコが途方に暮れているのではないかと思う。でもきっと、マーボが一緒なはずだから。 小さいころのミーコ、&マーボ(2016年11月) 少し大きくなったミーコ、&ルナ、マーボ(2017年1月) チャッピーとミーコ(2017年6月) ベッドの下にもぐり込むミーコ(2017年6月) 昨年の今ごろは、「勇者ミーコの冒険」というのを連載していた。あのときは、ミーコがそんなに早く虹の橋をわたってしまうなんて、想像もしていなかった。Tokyo2020のときももちろん、テレビを見る我々のかたわらに、ミーコもいるはずだった。 勇者ミーコ 乱暴者で、ちょっと不器用。でもいつも一生懸命。ミーコ、本当にこんな感じだったな。 |